売れる商品・サービスには特徴や共通点があります。
商品を売れるようにはしたいけど、具体的にどうすれば売れるようになるのか悩んでいませんか?
インターネットや本を読んで調べても、部分的な方法論が多かったり、目新しいことが書かれていたり、結局のところ何をしていいのかよく分からないですよね。
それもそのはずで、売れる商品の特徴がわかりにくいのは全体像が見えないからなんです。
売れる商品というのは、商品だけではなくあらゆる要素が複合的に混ざり合っています。その特徴は5つです。
そこで、この記事では売れる商品の特徴とはどんなものかの全体像を掴んでいただいて、自社の商品がどの部分を強化するといいのか分かるような内容をお伝えしていきます。
ぜひ、過不足がないか、現在の取り扱っている商品・サービスを想像しながら読み進めてみてください。
最後まで読み進めていただければ、間違いなく商品・サービスの強化に繋がるようになるはずです。
目次
売れる商品の全体像【5つの特徴】
売れる商品というのは大きく以下の5つの特徴に分けられます。
売れる商品5つの特徴
- 目的や大義(在り方)
- コンンテンツ(商品力)
- 顧客(ターゲット)
- マーケティング
- ブランディング
多くの情報は販売方法(マーケティング力)に終始してしまいがちですが、商品1つを生み出すにしても様々な要素が組み合わさっていることがわかります。
どれだけ販売方法が優れていたとしても、コンテンツ(商品力)そのものに魅力が無ければ難しいでしょうし、商品を開発・販売する人が「何となく売れればいいや」という気持ちでいたら素晴らしいものは生まれません。
つまり、1つだけを抑えればいいのではなく、全体で売れる商品の特徴を捉える必要があるのです。
では、それぞれ具体的にお伝えしていきますね。
売れる商品の特徴を考える前に、まずは何を成し遂げるか?(目的や大義)
まずは商品のカタチができる前に、売り手の目的や大義がしっかり定まっているかどうかを確認しましょう。
目的というのはビジネスを通して成し遂げたいことで、大義というのは社会的な意義のことです。
そもそもビジネスというのは社会にある問題や課題を解決するためにあります。
自分本位で売上や利益を出したいからという動機では、顧客視点を無視するような思考に陥りやすいですし、何より社会から応援されるようなことはまずありえないです。
ビジネスのすべてのスタートは目的や大義からです。
ここが定まっていないなら、売れる商品というのは小手先のテクニックですることになるため本当にいいものは作れません。
ですので、売れる商品を考えるより前に「何のためにビジネスをするのか?」を人に伝えられるようにしておきましょう。
何を目的にビジネスをするのか
ビジネスの目的を決める上で理想の状態を考えてみてください。
ここでの目的はビジョン(Vision)と同じです。
ビジョン(Vision)は言葉のとおり未来像なので「こんな未来になったらいいなぁ・・・」と頭の中に浮かぶようなものがいいですね。
具体的であればあるほど自分でもイメージがしやすくなり実現性も大きくなります。
どのような社会的意義のある活動か
さて、社会的意義も目的と同じく決めておく必要があります。
社会的意義というのは取り組みが社会のためになっているかどうかという考えのものです。
仮にビジネスの目的が顧客のある悩みを解決する素晴らしいものであったとしても、その商品を生産するために地球環境を破壊していたら本当の意味で社会のためになっているとは言えないですよね。
あるところではいい顔をして、別のところでは悪い顔するというのは倫理的にはNGです。
特に2008年のリーマンショック以降は、利益追及型のビジネスは社会から叩かれる傾向にあります。
なお、社会的意義のあるビジネスは多くの共感や強力な支援者を募ることができます。
社会から支持される活動というのは、共感者からの「口コミ」が連続的に起こるため、おのずと商品の売れ行きは伸びるようになります。
売れる商品の特徴で方法論ばかりに目が向くと気付かないポイントではないでしょうか。
事例:日本環境設計の目的と大義
(出典元:ダイヤモンドオンライン)
素晴らしい目的と大義の具体例も紹介します。
日本環境設計というリサイクル会社はご存知でしょうか?
この会社の岩元会長は日経ビジネスの次代を創る1位にも選ばれています。
日本環境設計は、コットンからエタノールを、プラスチックから再生油を、着古したポリエステルから新しいポリエステル繊維を「燃料」から「原料」に戻すということをされています。
再生した燃料でバック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアン(本物)を動かすというイベントも実施している凄すぎる会社です。
日本環境設計のホームページからイベントの内容もご覧いただけます。
こちらの会社の目的と大義は明確です。それは「世界から戦争を無くしたい」というものです。
リサイクルと戦争に何の関係があるの?と思われたかもしれません。
しかし、戦争の多くは地下資源の権益争いによって生まれているのです。
ですから、地下資源が必要ない社会になれば人類が求める平和な社会になるということです。
日本環境設計の目的や大義は「平和な社会にすること」。そのためにビジネスをしています。
売れる商品の特徴(コンテンツ)
売れる商品というのはさらに細かく4つの特徴に分解されます。
顧客のBefore-Afterが明確である
売れる商品でもっと重要なのですが、商品を「利用する前」と「利用した後」の変化が明確に分かるかどうかです。
これを業界用語でベネフィットと言います。
ライザップがあれだけ売れたのは、テレビやインターネットで徹底してベネフィットを打ち出していたからです。
ライザップのベネフィットは「2ヶ月で理想の身体」になれるという動画を使ったプロモーションが有名ですよね。
顧客が求めているのは特徴やメリットではなく商品を利用した理想の未来なんです。
- 商品にベネフィットがしっかりと定義されているのか
- ベネフィットは具体的にイメージできるものか
- そのベネフィットは顧客にとって魅力的なものになっているのか
この3点を十分に吟味してみてください。
ライザップは「理想の身体」という言葉では具体的にイメージできないところを、動画で視覚化させたのは流石だなと思います。
ベネフィットで大切なのは顧客に具体的な未来像をイメージさせてあげられるかです。
文字・画像・動画などのあらゆる方法を組み合わせて、最も伝わりやすいアプローチを立てるのがいいですね。
販売する会社や人が信頼できる
どれだけ商品が素晴らしいものであっても販売している会社や人が信頼に足るかどうかも重要です。
ここでいう信頼というのは販売するだけの資格があるかどうかです。
ブクブクに太った体型のダイエットトレーナーが「簡単に痩せられますよ」って言っても説得力はないですよね。
販売する側に資格がないと「あなたできていないでしょ」って思って買わないはずです。
ですので、語るだけの実績・経験値・お客様の声などの証明できる何かを準備するようにしましょう。
目新しい要素が含まれている
売れる商品には競合がやっていないような独自性が必要です。
商品をはじめて聞いたときに「これまでのものとは少し違うかもしれない」、「これは聞いたことがない」と受け手が感じてくれることが大切になります。
ですが、全く目新しい商品というのは世の中に存在しないので、既存商品の中で1つか2つ新しい要素が含まれているようなもので十分です。
なお、目新しさがあれば何でもOKかというと違います。
きちんと顧客目線で魅力的な目新しさにしないと、そもそも振り向いてもらえないからです。
「我が社ではどこよりも真面目なスタッフが働いています」と言われても、顧客の立場からすると「ふーん」と関心や興味を掴むことはできません。
例えば、俺のフレンチのように「高級食材を安価で提供する」というぐらいのインパクトを作りだせるのが理想です。
大事なのは顧客にとって魅力的に感じるような目新しさかどうかです。
ターゲット顧客の常識から逸脱していない
商品を考えるときに奇抜なものになりすぎないというのも重要になります。
言い換えると納得感のようなものです。
たしかに言われてみればそうかもしれないと思える商品にする必要があります。
例えば、運動することは健康にいいという常識は多くの人が持っています。
そこで、「実は運動することは健康に悪いことだ!」という問題提起をしたとします。
たしかに目新しさはあるのですが、これでは信憑性に欠けてしまうため誰にも気にかけてもれえません。
ですので、あくまでターゲットとしている顧客が納得できるような商品の魅力を打ち出すようにしてください。
誰に販売していくのかがとても重要(ターゲット)
商品はあらかじめ誰に購入して欲しいのかを決めておく必要があります。
誰にでも売れる商品というのは世の中に存在しないため、具体的に絞り込んでいくようにしましょう。
ペルソナを決める
マーケティングの世界ではペルソナというものがあり、まずはこのペルソナを具体的に定義していきます。
ペルソナというのは商品を購入する理想の顧客像のことを言います。
ここでいう理想というのは、自社の持っているリソース(ヒト・モノ・カネ)と、顧客の利益を最大化できるポイントのことを言います。
ペルソナでよく誤解されてしまうのが、「理想=都合のいい顧客」にしてしまうことです。
本来の理想の顧客は「実在していることが前提」であるのに対して、都合のいい顧客は「実在していない可能性がある」という違いがあります。
前者はしっかりと市場リサーチをした上でできるものですが、後者は商品先行で無理やり顧客ニーズを結びつけることで生じやすい失敗です。
本当に世の中に実在している人物であることを前提に作成してください。
さて、ペルソナの作り方ですが2つの視点から作成するといいです。
- 定量データ・・・年齢、性別、職業、世帯、所得、学歴、地域などの具体化できるもの
- 定性データ・・・性格、価値観、ライフスタイル、趣味などのイメージできるもの
昔のペルソナは年齢や性別などの定量データだけでも商品は売れていたのですが、数値データだけでは見えないところにニーズが隠れていることが多くあり定性データの重要性が増してきています。
ペルソナの悩みを知る
ペルソナを定量データと定性データで作成できたら、どのような悩みがあるのかを具体的に洗い出します。
基本的に人の悩みというのは大きく分けると2つしかないです。
- 快楽が得られるもの
- 苦痛を逃れるもの
「サンゴ礁の見える綺麗な海へ旅行に行きたい」というのは快楽の部分ですし、「部屋の中に虫が入ってくるから虫除けをしたい」というのは苦痛を逃れる部分です。
このように必ず2つの悩みに区分けすることができますので、あなたの商品がどちらの悩みを解決するものなのかを考えてみてください。
どうやったら最も効率よく販売できるか(マーケティング)
ようやくここからマーケティングの話になります。
マーケティングは簡単にいうとできるだけ多くの人に効率よく商品を販売するための方法です。
開発した商品が勝手に売れればいいのですが、顧客心理をしっかりと理解して、最大限に商品の魅力を伝えないといけないので、そのために使われるツールです。
戦略・戦術を考える
マーケティングでは戦略と戦術の2つを考えるようにします。
戦略は目的達成するための大きな方向性で、戦術はその方向性に沿った具体的な方法論になります。
例えば、1年以内に毎月1,000人の見込み顧客を集客したい場合の戦略・戦術は以下の通りです。
戦略:ブログで集客をする
戦術:毎日1記事を書く
今回はマーケティングで特に重要な戦略部分での考え方についてお伝えしますね。
ターゲットのいる場所を探す
まずはターゲットとなる人がその場所にいるかどうかの選定です。
30代キャリアウーマン向けの英語教材を販売したいのにも関わらず、50代サラリーマンしか集まらないところで販売していても一向に売れることはありません。
少し極端な例ではありますが、意外と多くの人が似たような失敗をしています。
ですので、商品を届けるところに見込み顧客になりそうな人がいるかどうかを十分に見極めてから、具体的な行動へ移すようにしていきましょう。
空いているポジションを探す
あなたのビジネスが参入できるポジションがあるかどうかを見つけます。
すでに同業者が全く同じ商品を販売していたら、あなたが商品を販売する必要はないわけですよね。
- 同業者ができていないこと
- あなたのターゲットにしている顧客が望んでいるもの
この両方を満たすポジションを探してみてください。
ポジショニングに関する詳しい情報はこちらの記事でも学べます。
-
ポジショニングの意味と目的とは?【初心者向けに分かりやすく解説】
ポジショニングはマーケティング戦略の手法の1つです。 専門書籍やネット情報だと難しい用語や表現が多いため、「これからポジションングを考えないと…」という初心者でも分かる内容で情報が欲しいものです。 & ...
続きを見る
大きな導線を作る
マーケティングの戦略を組み立てるときには「入口」と「出口」を特に考えます。
- 入口:どのようなターゲットにどのようなコンセプトで打ち出すのか?
- 出口:最後に提案する内容は何か?
有名ブランドであるならまだしも、いきなり「これ買ってください」で商品が買われることはないですよね。
マーケティングの戦略を練るときには、商品の存在を知ってもらってから購入するまでの顧客心理をしっかりと考えながらシナリオを作っていきます。
あとはシナリオに対して中身を埋めていくだけの作業(戦術)になりますので、ここの導線が間違っていると全部失敗してしまいます。
WEBマーケティングでの詳しい販売の流れを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
-
WEB集客を自動化させるための全手順を徹底解説
どうも、ソーシャルプランナーの安藤です! 今回は「WEB集客を自動化させるための全手順」をテーマにお話していきます。 あなたはWEB集客で自動化させたいけれど、「具体的にどういう手順で作ればいいのだろ ...
続きを見る
細かな心理テクニック
商品を販売するときの心理テクニックも一緒にご紹介しておきます。
権威性を使う
商品を販売するときに第三者機関などからのすごいと感じれもらえる何かを提示します。
国や自治体などからの表彰であったり、大きなグランプリで優勝したなどの実績があるだけで1つの信頼の武器になります。
ただ、大きな実績である必要はないです。小さな実績であったしても十分に有効手段となるため活用していきましょう。
また、ビジネスと関係のない実績はあまり効果を得られないため親和性の高いものである方がいいです。
勝負するカテゴリーを変える
顧客の商品イメージを変えることで売れるようにしたり、価格アップを狙える戦略です。
カテゴリーというのは「分類」「範囲」のことで、人は必ず商品をカテゴリー分けしています。
お菓子売り場に並んでいるものであれば「お菓子」というカテゴリーに振り分けられ、パン売り場に販売されていれば朝食などに振り分けられます。
振り分けられるということは商品イメージや価格帯も比較されるということです。
100円ぐらいのお菓子と同じような場所に陳列されていれば、周囲の商品への格付けがそのまま反映されやすいということになります。
逆にこれをうまく利用すれば、違うカテゴリーに含めることでイメージアップすることも可能です。
昔のシリアルはそうでした。
まさにお菓子と同じ棚に陳列されていたので朝食のイメージは無かったのですが、パンと同じコーナーに並べることで朝食のイメージを与えることができるようになったのです。
このようにカテゴリーを変えることが可能であるかの検討もするといいですね。
社会的証明を使う
人間心理で社会的証明という言葉があります。
自分の考えに確信がないときに、誰かの考えや行動に依存しやすくなるという心理です。
これは無意識の中で誰しもがやっているぐらい強力なものになります。
例えば、Amazonや楽天などのECサイトには必ずユーザーレビューというものがあります。
これは何のためにある機能かというと、社会的証明をうまく活用しているものです。
「この商品は本当に自分に必要なものだろうか」という検討をしているときに、すでに購入されている人のレビュー結果を参考にしますよね。
それで、ポジティブなコメントが書かれていれば前向きに購入しようと思うはずです。
ユーザーレビューに限らず、第三者の声を伝えることで効果を得ることができますので、お客様の声などがあるようでしたら併せて見込み顧客へ伝えるようにしてください。
返金保証でリスクゼロにする
商品に満足いかなければ全額返金しますという提案です。
これもクロージングでの決定打になりますので、商品に自信がある場合は使った方がいいです。
実際に顧客から返金を求められるケースはほとんどなく売上を伸ばすことが可能となります。
限定性を作る
最後の最後に後押しするときに使いましょう。
人は決断することを嫌いますので、「期間」や「数量」などを限定させることで行動に促すことができます。
本当にこれだけで成約率が数倍変わるということもありますので、顧客判断に委ねているのだとしたら取り入れるようにしてみてください。
ずっと選ばれ続けるためには世界観が必要
商品を「そのとき」売るだけならマーケティングで売る技術を学べばいいのですが、ロングセラーを狙っていくならブランディングも学んでおく必要があります。
マーケティングとは異なり、ブランディングはストック型の資産です。
じっくり時間をかけて積み上がっていくものなので即効性はないのですが、利益率やリピートなどを加速させる役割があります。
日本ではブランディングを採用している会社は少ないのですが、米国では当たり前のように使われています。
実際に世界中の時価総額で上位にランクインしている会社は米国ばかりで、アップルやスターバックスコーヒーなどが代表的な会社です。
日本は商品力では世界でもピカイチなのですが、ブランディングがあまり得意ではないため残念ながら市場を取られてしまっています。
ブランディングをもう少し詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
-
顧客を魅了するブランドコンセプトとは?|事例と必要性を徹底解説
ブランドコンセプトは、継続的に顧客を魅了して、自社の売上を伸ばし続けるために必要不可欠な考え方です。 誰もが感じている通り、いまや日本では同じような商品・サービスで溢れている時代です。 飲食店、カフェ ...
続きを見る
まとめ
売れる商品の特徴についてお伝えさせていただきました。
ご紹介したとおり、売れる商品というのは「商品だけ」とか「売り方だけ」などの狭い観点で決まるものではありません。
以下の観点のすべてを考える必要があるのです。
ココがポイント
- 目的や大義
- コンテンツ(商品力)
- 顧客(ターゲット)
- マーケティング
- ブランディング
いま取り扱っている、またはこれから取り扱う商品のどのあたりを強化するべきか、今回の記事で参考になれば幸いです。
最後におすすめの本をご紹介します。小暮太一さんの「どうすれば、売れるのか?」です。
難しい話を分かりやすく言語化してくれていて個人的にオススメの本です。